本文へスキップ

このサイトでは、彩嶺さんちの家族の会話を通じて、自然エネルギーのことを学びます。

NPO法人 埼玉自然エネルギー協会

Saitama Natural Energy Association

よくわかる温暖化のお話し

彩嶺さんちの家族

ある暖かいの日の午後、一仕事を終えたお母さんがお父さんに話しかけるところから、お話しがはじまります。

アンケートにご協力ください。
下記をクリックすると、アンケートフォームが立ち上がります。→クリック
このホームページのご感想、ご意見、ご質問等もアンケートフォームにて承ります。
今日は暖かいわね。
 
そうだね。
 
でも、今年の冬は暖冬だという長期予報だったのに、結構寒い日があったわよね。北海道ではすごく寒くて猛吹雪の日も多かったそうよ。ほんとうに地球は温暖化しているのかしらと思うわ。
温暖化というのは単に気温が高くなるというだけでなく、そういう極端な気象を引き起こすこともあるそうだ。夏の大雨とかね。
そうなの? 地球温暖化って、文字通り地球が暖かくなることだと思っていた。その原因はCO2だと言われているよね。埼夫も学校でそう習ったって言ってた。
そうだね。産業革命後、人類が石炭などの化石燃料を大量消費したことにより大量に発生したCO2が大気中に蓄積して、地球の放射熱を吸収し、宇宙に放散されるのを抑える。その結果、大気の温度が上昇しているというものだ。いわゆる温室効果だ。これについては、物知り博士に詳しく教えてもらおう。→物知り博士のQ&A
大気中のCO2の濃度が増加しているのね。
 
そう、実際にCO2の濃度は、昔は280ppm(0.028%)程度だったのが、今は400ppmを超えたといわれている。このままCO2が増え続ければ、大気の温度が今世紀末までに最大4.8℃上がって、南極やグリーンランドの氷が融けだして、海面が上昇し、海抜の低い土地は浸水する恐れがあるといわれている。
知っている。すでに南極の氷が融けだしているのをテレビで見たし、ツバルなどの南洋の島国が海水面の上昇により水没しかけているということも聞くわ。
そうだね。
 
氷は南極だけでなく、北極にもあるんでしょ?
 
そう、ただ南極は大陸だから氷は陸の上に載っている。これが融けて水になって海に流れ込むとその体積分海水が増えることになり、その分海水面が上がる。よって、海抜が低いところに海水が流れ込んでくると予想される。これに対して、北極は陸地ではなく、氷が海に浮いている状態だから、コップに浮かべた氷と一緒で、全部融けても海水面が上昇することはないと考えられる。
そうか。
 
もちろん、温暖化の影響は海面上昇だけじゃない。このほかにも、いろいろな地球規模の気候変動があるといわれているんだ。
たとえば?
 
たとえば、台風が大型化したり、爆弾低気圧や竜巻が頻発したり、極端な熱波や寒波などが襲来したり、海水が酸性化したりなどだ。
そうか。竜巻なんて日本の一部やアメリカでの話と思っていたけど、最近は身近でも被害が出ているわね。
そのような気候変動は当然農水産物などに影響するから、人類だけでなく地球上の生物は危機的状況に陥ることになる。単なる寒暖の繰り返しではなく、このような大きな地球の気候変化が起これば、人類の生存と生態系に不可逆的、つまり元に戻せない危険があることが心配されているんだ。
それは大変ね。
 
そんなことにならないように、各国が集まって、対策を協議しているんだ。それが、気候変動枠組条約のCOPと呼ばれる会議だよ。そこでは、原因と考えられるCO2などの温室効果ガスの排出量を削減する目標が決められたんだ。それが、京都議定書(1997年)やパリ協定(2015年)なんだ。これらについても、物知り博士に詳しく訊いてみよう。→物知り博士のQ&A
京都議定書か。よく新聞に出ていたわね。でもCO2の排出量は、結局増えているのよね。京都議定書では先進国の削減義務も小さく、発展途上国にはその義務もなかったんでしょ。
そうだね。発展途上国の人たちとしては、エネルギーの消費が抑えられたら、せっかくこれから発展していこうというのにできなくなると考え、こんなことになったのは、これまで大量にCO2を出してきた先進国の責任だから、お前たちでなんとかしろということだね。先進国のアメリカなども京都議定書には反対だった。でも、その時からさらに事態は悪化しているということで、ようやくアメリカも同調するようになったんだ。
先進国も発展途上国も、世界の国が協力して、CO2の排出量を減らそうというわけね。でも、最近のニュースではアメリカの新しい大統領は、温暖化に否定的で対策予算を減らすような動きをしているみたいね。
そうだね。ちょっと気になるね。学者の中にもいろいろな考えの人がいて、地球温暖化に異を唱える人もいるらしい。でも、現在の世界の学会では、人間活動の結果として短期間にCO2が増加し、それによって温室効果が増大し、地球規模で気温が上昇しているという考え方が主流になっている。
そうなんだ。
 
そもそも、地球の気温は太陽の活動に大きく依存していて、その変化に応じて、寒い時期と暖かい時期が何年かの間隔で、といっても何万年単位だけど、交互にあったんだ。いわゆる氷期と間氷期だね。
氷期って、非常に寒いときでしょ。恐竜が絶滅したのは、氷河期に入ったためだと聞いたことがある。
あっ、氷河期(ice age)と氷期(glacial period)とは厳密には違うみたいだよ。
 
どういうこと?
 
氷河期というのは、地球上に氷河が存在する時代のことをいうんだ。氷河時代という方がいいかもしれない。今、地球上に氷河は存在しているだろう?
ええ、南極、グリーンランド、高山地帯などにあるわね。
 
だから今は、氷河期なんだ。3〜4000万年前から続いているみたいだよ。でも、氷河期の中でも比較的寒い時期と現在のように暖かい時期があって、それが数万年単位で繰り返されている。寒い時期を氷期、暖かい時期を間氷期というんだ。
そうなの? ということは、今は氷河時代の中の間氷期ということね。
 
そのとおり。現在の間氷期は約1万年前から始まったと言われている。ちなみに恐竜の絶滅には諸説があって、氷河期説より巨大隕石の地球衝突説の方が有力みたいだよ。衝突で舞い上がった粉塵が空を覆い、太陽が遮られたことで、気温低下が起こったといわれている。
そうなの?
 
そのために、それまで暖かく、食べ物も豊富にあったのに、気温の低下で食料が不足し、恐竜自身も寒さに耐えられなくなって、絶滅したといわれている。恐竜だけでなく、多くの生物が絶滅したらしいよ。
その後、また暖かい時代になって、寒暖の差はあるけど、氷期と間氷期が繰り返されてきたんだ。間氷期の中でも、気温は高低を繰り返していて、中世温暖期(10世紀〜14世紀)といって、今より暖かい時代もあったらしいよ。
へえー。
 
その時は、グリーンランドも氷が少なく、ある人がここを開拓しようと入植者を募り、その際のキャッチフレーズとして、「グリーンランド」と名付けたらしい。その後の寒冷化で再び氷に覆われて、入植者は全滅したといわれている。
そうなの? 氷の島なのになぜ緑の島という名前なのか不思議だったの。ところで、その頃の温暖化はCO2の影響じゃないんでしょ?
もちろん。まだ石油の採掘なんて行われていないから、少なくとも人類の活動による人為的な影響ではないね。太陽の黒点や地球自身の活動の影響が大きかったんだと思うよ。もっとも、この中世温暖期はヨーロッパ地域だけのもので、地球規模のものではなかったともいわれている。
気温は、数値はともかく寒い暖かいくらいは体感でわかるけど、CO2の濃度なんてわからないよね。昔の気温やCO2濃度を、どうして今知ることができるの?
それは海底の泥や厚い氷の中に閉じ込められている昔の痕跡を調べることでわかるんだ。詳しくは物知り博士(→物知り博士のQ&A)に聞いてみよう。

― 休憩 ―

どう? わかったかい?
 
???。ほぼほぼね。現在は、実際の試料を使って測定しているんでしょう?
 
そうだね。ただ、気温にしてもCO2にしても、どんなサンプルを採取して分析するかが問題だ。現在社会は昔と違ってアスファルトが敷き詰められていたり、工場や車からCO2がどんどん排出されている。そんなところのサンプルを採ってデータを出しても地球全体を反映しているとは言い難いからね。
そのような影響のないところの試料を分析したデータを比較すると、さっき言ったように、CO2濃度が昔に比べて40%程度増加しているということだ。
それが気温上昇を招き、このまま放置すると、地球が危機的状況になるので、主な原因物質と考えられるCO2の人為的排出量を減らし、なんとか温暖化を食い止めようとしているのね
そういうこと。いずれにしても、言えることは地球は我々のふるさとであり、それを未来永劫、子々孫々まで残さなくてはならない。そのためには、気候に影響を与えるような人為的な変化をできるだけ起こさないようにしようということだ。
そうよね。
 
その意味で、エネルギーも化石燃料や原子力に依存するのではなく、自然の力を利用したものをどんどん活用していく必要があると思う。
化石燃料と言われる石油や天然ガスも悪者のように言われているが、大昔の生物の遺産であり、我々にとっては宝物だといえる。石油は、プラスチックなど、我々の身の回りに欠かせないものの原料でもあるから、これがなくては、現在の生活レベルを維持できない。石油を単に燃料として消費するのではなく、この方面での利用により多く回したいね。
そうね。でもそうなると、石油の需要が今までより減ることになり、産油国は困るよね。
そうだね。でも、今言ったように石油の需要がなくなることはないのだから、目先の利益にとらわれず、先のことを考えるというか見通して、地球および人類の未来のために今何をすべきかを考え、実行していくことが我々に求められているんじゃないかな。
そうね。
 
これは、余談だけど、中東の大産油国であるサウジアラビアでは、将来を見据えて脱石油を目指した国造りへ方向転換を図ろうとしているらしいよ。
そうね。3月(2017年)にはサウジアラビア国王が来日していたわね。
 
うん。省エネなど日本の技術に期待するところもあるのだろうね。
ちょっと横道にそれたけど、このままCO2を排出し続けると地球は危機的状況に陥るかもしれないと、みんなが認識して、昔から人々が大切にしてきた地球をそのままの状態で、埼夫や彩の時代に引き継いでいきたいね。
そうね。原発も発電時にCO2を排出しないというけれど、だからといって原発を増やそうというのは、ちょっとどうかなと思うわ。今も故郷に帰れない福島の人たちを思うと、とても賛同できないもの。
そうだね。たとえ今は非効率ではあっても、できるだけ自然エネルギーを利用していきたいね。それが技術の進歩につながり、やがては地球を救い、我々人類だけでなく、すべての生物にハッピーということになるんじゃないかな。
そういうことね。期待しましょう。今日もお疲れさま。
 
ちょっと、散歩に行って自然を満喫してくる。天気がよくて暖かいしね。
 
ちょっと待って、私も行く。
 

― 完 ―

お話の目次