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このサイトでは、彩嶺さんちの家族の会話を通じて、自然エネルギーのことを学びます。

NPO法人 埼玉自然エネルギー協会

Saitama Natural Energy Association

よくわかる電力自由化のお話し

電力自由化ってなに?

彩根さんちの家族

2016年4月に家庭向け小売り電力が自由化されてからまもなく1年となるある休日、新聞を読んでいたお父さんにお母さんが話しかけます。

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電力自由化の記事か。新電力に乗り換える人は多いの?
 
いや、それほどではないみたいだね。新電力への切り替え件数は311万件(2017年2月末現在。電力広域的運営推進機関発表)だそうだ。自由化の対象になった家庭や商店などの契約数約6,260万件の5%くらいだね。関東や関西など大都市圏の競争が激しいところは新電力事業者の数も多く、切り替え率も高いけど、地方では低いようだ。
自由化の始まった2016年の初めのころは、新聞やテレビで毎日のように取り上げられていて大騒ぎだったのにね。
そうだね。まさに熱しやすく、冷めやすいだね。もっともうちもまだ乗り換えていないけどね、
そうね。結局のところ、電力自由化というのはいったい何なの?わかりやすく説明してくれる?
了解。我々が使っている電気は、2016年の3月までは関東なら関東という地域に1つの電力会社があって、その会社が発電し、送電し、さらに販売していた。特に、販売、すなわち小売り事業は独占していたんだ。
ええ、日本には地域ごとに電力会社が10社あって、その地域に住む人はそこからしか買えなかったのよね。
そういうことだ。今度の電力自由化というのは、この電力会社10社による地域での小売り事業の独占をなくして自由化しようということなんだ。つまり、極端にいえば、誰でも小売りの電力会社を作って、小売電気事業者として政府の登録を受ければ、一般家庭に電気を売ることができるようになったんだ。また、電力会社の地域独占がなくなったことで、ある地域の電力会社が別の地域に電気を供給することもできるんだ。すでに何年か前から大口使用者向けには自由化されていたんだけど、2016年4月から、これが家庭向けにも広げられることになったんだよ。
そういうことか?それでマスコミなどが盛んに取り上げたのね。
 
そう、それだけ我々の生活に身近な話題だったということだよ。
 
ふーん。ところで電力自由化で、私たち何かしなくてはいけなかったのかしら?
 
特に何かしなくてはいけないということはないよ。何もしなくても、現に電気はきているだろう。何もしなければ、今まで通り地域の電力会社との契約が継続されているということなんだ。
そうか。ところで、さっき新しい小売り電力会社という話があったけど、どれくらいの会社があるの?
小売電気事業者としてすでに登録されているのは、全国で383社あるそうだ。そのうち、一般家庭向けに販売を開始しているのは106社だそうだ。3割弱だね(2017年2月28日現在。参考:資源エネルギー庁ホームページ;http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/)。
へえー。
 
あとの7割強は、登録はしたけど様子見というところかな。ちなみに、関東地方を販売エリアとして登録されている事業者は150社程度あって、このうち60社前後が実際に電気の販売を始めているらしいよ。地方ほど、様子見という事業者が多いようだね。いずれにしても選択肢が増えたことはたしかだから、この際検討してみることは大切だね。
そうね。うちでも検討してみようかしら。でもそんなにたくさんあったら選ぶのが大変よね。
そう。その上、電気に使い方によって複数の料金プランを設定しているところがあるから、どういう基準で選ぶか、自分なりのしっかりした基準をもっていることが必要だね。
基準って、どういう?
 
たとえば、単に電気代を基準にするのか、発電方法を基準にするのか。電気代を基準にするなら安いに越したことはないから、最も安い料金を選べばよい。発電方法、つまりその電気がどういう方法で作られているのかで選ぶ場合は、その会社がどの方法で発電した電気を仕入れているかを調べる必要がある。
電気って使うときはみんな同じだだけど、つくり方にはいろいろな方法があるのね。
 
そうだよ。火力発電や原子力発電、水力発電、あるいは太陽光発電などがあるよ。太陽光発電は自然エネルギーの一種だね。それはまたあとで話そう。
そうか。聞いたことある。火力発電って石油や天然ガスを燃やして作るんでしょ?原子力発電は、いわゆる原発ね。こわい。
火力発電は石炭や石油などいわゆる化石燃料を燃やすから大量の炭酸ガスが発生するんだ。炭酸ガスはCO2ともいい、いわゆる地球温暖化の原因の1つになっている。温暖化についてもまた別に話そう。その点、原子力は発電の時にはCO2を発生しないけど、お母さんがいったように事故が起こると大変だ。
福島の事故はまだ頭にこびりついているわ。原発の電気は使いたくないわ。
 
そうだね。今度の自由化では、そういうことも可能なんだ。
 
どういうこと?
 
会社によっては、うちは原子力で作った電気は扱っていません、というところもあるんだ。
えっ、そうなの?
 
といっても、さっきお母さんが言ったように、火力、原子力、自然エネルギーのいずれの方法で作った電気も、すべて送電線といういわば大きなプールに流れ込んでしまうので、使うときはどんな発電方法で作った電気かの区別はつかない。だから、たとえ、うちは原発で作った電気は使っていませんという会社と契約しても、それをまったく使わないということは不可能ということだ。
そうよね。
 
でも、もし販売する電気の全量を、自然エネルギーでつくった発電会社から仕入れているのなら、一応原発の電気は使っていないといってもいいんじゃないかな。その小売電力会社を通じて自然エネルギーによる発電を支援することにもなるしね。ただ、残念なことに現在では、自然エネルギーによる発電量そのものが少ないので、まるまる自然エネルギーで発電した電気だけを販売していますとはなかなか言えないね。
そうか、契約する前にその点をよく検討しなくちゃね。
 
ただいま。
 
あっ、彩が帰ってきた。晩ごはんの支度をしなくっちゃ。
 
続きはまた明日にしよう。
 

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