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このサイトでは、彩嶺さんちの家族の会話を通じて、自然エネルギーのことを学びます。

NPO法人 埼玉自然エネルギー協会

Saitama Natural Energy Association

よくわかる自然エネルギー発電のお話し

太陽光発電について

彩嶺さんちの家族

久しぶりの快晴の休日。お母さんは、2階で洗濯物を干しています。お父さんがソファーでくつろいでいると、彩がやって来てお父さんに話しかけました。

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ねえ、お父さん。うちの屋根に太陽電池があって電気を作っているって、お兄ちゃんから聞いたんだけど、太陽電池ってなーに?どうして太陽の光で電気が作れるの?
おっ、いきなり難しい質問だね。うーん、何から説明するかな。彩は電池というと何を思い浮かべる?
乾電池でしょう、それから・・・・
 
そうだね。乾電池が一番身近だね。身近と言えば、自動車にも電池が使われているよ。エンジンを掛けるときに必要なものだ。
そうか、この前お父さんが点検してたね。
 
うん。乾電池や自動車の電池は、文字通り電気の池、つまり電気を貯めているんだ。必要なときに、すぐ電気を取り出すことができる。でも、太陽電池は、ちょっと違うんだ。
どう違うの?
 
太陽電池は、電池といっても電気を貯めておくことができないんだ。太陽の光が当たっているときだけ電気が発生し、太陽の光が当たらなくなるとまったく電気が発生しない。だから、電池というより発電機、電気を起こす機器と言った方がいいかもしれない。
へえー。どんな仕組みになっているの?
 
そうだね。彩は学校でボルタ電池って、習ったかい?
 
うん、習った。ビーカーに塩酸を入れて、その中に亜鉛と銅の板を漬けて電線でつなぐと豆球が点くんでしょう。亜鉛が塩酸で溶けて+イオンになり、余った電子が亜鉛板から銅板の方へ流れて電気が発生し、豆球が光ると書いてあった。実際に先生が実験をしてくれたよ。亜鉛や銅板から水素がぶくぶく出てきて、おもしろかった。でも、すぐに豆球が暗くなったけど。
ボルタ電池は化学反応で電気が生じるということを示す最も簡単な例なんだけど、実際には複雑な反応が起こっているみたいだね。そんなことは別にして、ここで覚えておくことは要するに電気は電子が移動することで発生するということだね。太陽電池も同じなんだ。
太陽電池でも水素が出るの?
 
いや、太陽電池では亜鉛や銅、塩酸などは使わない。その代わりに半導体というものを使うんだ。これに太陽の光が当たるとボルタ電池のように、電子が動いて電気が発生するんだ。半導体や太陽電池の仕組みについては、物知り博士に聞いてみよう。→物知り博士のQ&A
どうだった?
 
今まで聞いたことのない言葉も多くてよくわからない。でも、屋根に載っているパネルって言うの?あれはたくさんの太陽電池の集まりで、その1つ1つで、光を電気に変える反応が起こっているということはわかった。
簡単に言ってしまえばそういうことだね。我が家は発電所ということだ。
 
自分ちで電気を作っているって、すごいね。
 
そうだね。
 
あっ、そうだ。友達と遊ぶ約束があったんだ。行かなくちゃ。
 
行ってらっしゃい。
 

― 2階のベランダで洗濯物を干していたお母さんが戻ってきました ―

あれっ、彩は?
 
友達と約束があるって出かけたよ。
 
そう。彩となんの話してたの?
 
太陽電池の話だよ。なんで太陽の光で電気ができるんだって。
 
彩もそういうことに関心を持つようになったのね。いいことね。
 
そうだね。
 
そうね。昔学校で習った記憶がある。そうそう、太陽電池といえば、私の家を見た近所の人が言っていた。「うちも載せたいけど、瓦に穴を開けるんでしょう。雨漏りが心配」だって。
そうだね。そういう人は結構いるよ。うちも、工事のとき何枚か割れたよね。うちは比較的新しい家で、工事の人が予備の瓦をもってきてくれたからよかったけど、古い家だと難しいかもしれない。でも、最近は、取り付ける工法も進歩してきて、瓦に穴を開けなくても取り付けることができるらしいよ。詳しくは物知り博士に訊いてみよう。→物知り博士のQ&A
 
へえ、近所の人に教えてあげよう。
 
ただ、いま使われている太陽電池って結構重さがあるんだよ。1枚20kg前後するから、25枚載せれば500kgになる。だから、構造的に重さに耐えられない屋根にはつけられない。
わかった。そういうことも話しておく。ところで、家に載せるほかに、地面に太陽電池を設置する場合もあるじゃない?
そう、野立てといって、広い土地に太陽電池を並べるんだ。屋根だと数が限られるけど、これなら敷地が広ければ、それだけ並べる数も多くなるから、大きな容量になるんだよ。
そうね。
 
小さいのは5kWくらいから、大きいのはメガソーラーといって、1MW(メガワット)以上つまり1000kW以上の出力をもつ発電所も全国あちこちに作られているよ。
そう、どんどん増えればいいね。
 
そうだね。でも、自然エネルギーの普及という点ではそうなんだけど、最近は太陽光発電所建設反対という住民運動を起こしているところもあるらしいよ。
えっ、どうして?自然エネルギーは環境にいいのに。
 
そんなことは、反対している人は百も承知だよ。ただ、太陽電池の表面はガラスだから、住宅地の近くなら太陽光が反射してまぶしい。あるいは、観光地などではパネルがたくさん並んでいる風景が、せっかくの景観を損ねる。さらには、山を切り開いて設置する場合は、木を伐採したりするので、かえって環境に悪い、土砂崩れなどの災害発生の可能性があるという批判もある。要するに場所を考えろっていうことだね。
そうか。なんでもそうだけど、長所と短所があるわね。
 
そう、自然エネルギーがいいことは分かっているんだけど、だからといってむやみにやるというのはだめだね。自然エネルギーだけに、自然と調和させてその利点を活かすことをまず考えることが必要だね。
そうね。
 
そして、大事なことは、自然エネルギーは地域の財産であり、そこに住む人たちのものだということだ。だから自然エネルギーを活用し、その恩恵を享受するのは、本来そこに住む人々でなければならない。その人たちが自分たちの住んでいるところで自然エネルギーの開発に取り組むのなら、反対運動なんて起こらないし、環境破壊ということもないと思うよ。
なるほどね。
 
その趣旨を明確にした条例を制定している地方自治体もあるよ。詳しくは物知り博士に訊いてみて。→物知り博士のQ&A
わかった。ところで、太陽光発電所を作るのって難しいの?土地とお金があれば作れるの?
えっ、誰か知っている人が作りたいって言っているの?
 
ううん、そうじゃないけど、ちょっと知っておきたいだけよ。
 
そうか。その辺のところは、なにか基準というか標準みたいなものがあるそうだよ。物知り博士に訊いてみよう。→物知り博士のQ&A
いろいろ手続きとかあって面倒なのね。お金もそれなりに必要だし。
 
そうだね。
 
ところで、さっき物知り博士のQ&Aでもあったけど、この先太陽電池はどうなっていくと思う?お父さんの意見を聞かせて。
そうだね。やはり無限といってもいい太陽の光を利用する太陽光発電は、この先も自然エネルギー利用の中心的存在であることは変わらないと思う。今も改良研究は産学で続けられていると思うから、太陽光を電気に変える効率は上がっていくと思う。そして、その結果普及も進んでいけば、コストも下がって、さらに普及が進むという好循環になるかもしれない。
でも、前にも言ったように太陽光発電の弱点は夜発電しないということだ。今は、電力会社が引き取ってくれるけど、いずれは我々自身ですべて使うという時代が来ると思う。そのためには、昼間発電して余った電気を蓄えておく充電用の蓄電池が必要になる。今でも蓄電池はあることはあるが、家庭で使うにはまだまだ価格が高くて、おいそれとは買えない。安価な蓄電池の技術開発が、さらなる太陽電池普及のカギかもしれないね。これが、ある程度安くなれば、我が家でも蓄電池を購入して、それこそ100%太陽光発電、つまり自然エネルギーですべての電気を賄うことにしたいね。
そうね。そろそろ、お昼ごはんにしましょうか。
 
うん。
 

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